仕事と介護の両立をゲーム研修で啓蒙、FPサテライトとも業務提携~株式会社and family 佐々木将人氏インタビュー

株式会社and familyの佐々木将人社長
株式会社and familyの佐々木将人社長

「働きたい人が 働きたい場所で 働ける職場づくりを」をコンセプトに、ビジネスゲーム型企業研修を通じた研修・コンサルティング事業を手が掛ける株式会社and family。

同社は、従業員のキャリアや介護との両立をファイナンシャルプランナー(FP)がサポートする「おかねの保健室」「仕事と介護の両立支援相談窓口」を運営する、FPサテライト株式会社(中央区銀座、町田萌代表取締役)と、『仕事と介護の両立支援』の領域で業務提携しました。


超高齢化社会に突入し、介護離職が社会問題になっている今、両社のタッグはとても意義深いものです。

代表取締役の佐々木将人氏に、提携の狙いや事業について伺いました。


目前に迫る「2025年サラリーマン大量離職」の危機

――and familyのサービスについて教えてください。

当社は、「ご家族を支える“気付き”と“きっかけ”を創り続ける」をミッションとして、2019年に設立しました。

日本は2007年に「超高齢社会」に突入しており、2025年には団塊の世代の多くが75歳以上の後期高齢者となる、いわゆる「2025年問題」が目前に迫っています。


問題は、平均寿命と健康寿命の間には約10年のギャップがありますから、誰もがなんらかの「介護」を必要とすることになるということです。

このまま「2025年問題」に直面すると、団塊の世代の子ども世代にあたる働き盛りの40代前後の方々が「介護」に直面し、働きたくても働けない状況に陥る恐れがあります。


そしていったん介護に専念することになると、一般的に5年が必要とも言われますが、実際には10年かかるかもしれません。

働き盛りの40代が一度離職して、介護が終わったら再就職できるかと言えば、できないケースが大多数です。


ですから、そもそも辞めずに済むように社内で助け合うことが大切だということに少しでも多くの方が気づいてほしいと思っています。

「仕事と介護の両立」は、働いている人ご自身はもちろん、周りで働く同僚や所属する企業、働く人を支える家族、そして国家そのものの根底を支えるためにも必要不可欠です。


しかしながら、制度の整備や認知、相談できる職場づくりなどまだまだ道半ばという状況です。

そんな中で、当社が行っているのは、「話せる職場づくり」をテーマにした教育・学習支援です。


話す場を設け、従業員の安全・安心の場を確保することによって、企業と従業員は同じ方向に向かっていくことができ、より能力が発揮でき、会社としても成長できます。

話し合うことによって意見のすり合わせができないと、仕事のやりがいも生まれません。


まずは何のために働いているのか、会社がどこを目指しているのか、といったいわゆるビジョン、ミッションをブラッシュアップできる組織開発のプログラムを提供しています。

介護離職をする理由は、「両立支援制度がない」という回答が多い
介護離職をする理由は、「両立支援制度がない」という回答が多い



ボードゲームで介護の疑似体験が好評

――まず、話せる環境を作ろうということですね。

介護を抱えている方々は、自分ひとりで悩んでしまい、どうにもならなくなってはじめて本音を吐露される方が多く、誰にも話せずに倒れてしまう人もいます。

そういった傾向は、介護にかぎらず、じつは病気、育児でも起こってしまいがちで、企業が育児介護休業法に基づいて就業規則を整備して様々なメニューを用意しても、なかなかそれが利用されていないのが実態です。


そのような事態を防ぐためにも「話せる職場」、介護について共有できる職場を作ることは非常に大切です。

そこで当社では、「仕事と介護の両立」の疑似体験をするボードゲームによる研修を提案しています。


――ゲーム型の研修とはユニークですね。

「けあとの遭遇®」というゲームなのですが、プレイヤーは、仕事もプライベートも両立し、充実している日々を送っている健康食品会社勤務のビジネスパーソンという設定です。

ある日、ライバル会社が新商品を開発したためにて主力商品が大きくシェアを落とし、このままでは倒産の恐れがあるという情報が上司からもたらされ、このままではまずいと一念発起したとき、突然、「母親が倒れた」という一本の電話がもたらされるのです。


家庭のこと、仕事のこと、親のこともいずれも非常事態で、さまざまな出来事がプレイヤーに降りかかる中で、どんな選択をしていくのか、考えていかなければなりません。

「けあとの遭遇®」の体験研修
「けあとの遭遇®」の体験研修

――まさに非常事態ですね。

現実の職場では、親が倒れたという話をしたら、重く受け止められてしまいますので、ためらう方も多いと思います。

その状況をゲームで疑似体験することによって、介護の共通認識を社内で深めていけば、「人事のAさんに相談しろ」という具体的な解決策が同僚や先輩からもたらされることもあります。


このボードゲームを社内で体験することにより、介護という重い話題も楽に話せる環境が生まれていきます。

介護の問題においては、相談できる「コミュニティ」のつながりがとても重要です。


「介護のことを話すことができる職場」「お互いさまと支え合うことができる職場」「働きたい人が働き続けられる職場」という働く人にとってのコミュニティを実現していただきたいということから、「けあとの遭遇®」が誕生しました。


――なぜボードゲームという手法を選んだのですか。

ベストセラーになったビジネス書『7つの習慣』にはすごく良いことが書かれていますが、それを納得しても、実際に行動に移すのは難しいと私は感じました。

2年ほど前に、ボードゲーム版『7つの習慣』のクラウドファンディングがあり、当時私の子も2~3歳でしたが、もう少し大きくなったら一緒にやりたいと思って支援しました。


これは実際に、『7つの秘宝 〜7つの習慣ボードゲーム〜』として発売されました。

このゲームをやってみて、介護というものは、難しい言葉がたくさん出てきてとっつきにくいものですが、それをボードゲームで疑似体験し、ゲームの後で理屈や説明をすれば、より入りやすいのではと思いました。


ボードゲームはドイツが本場で、いろいろなものが世の中にあふれていますが、介護をテーマにしたボードゲームは探してもありませんでした。

そこで自分で作ってみようと考え、この「けあとの遭遇®」が誕生しました。


――体験された方の反応はいかがですか。

多くのビジネスパーソンは、どこか頭の隅では介護のことを意識していますが、普段はなるべく考えないようにしています。

ボードゲームで疑似体験をすると、「介護を行うと、こういうことが起こりうるのか」ということが実感でき、さまざまな疑問もわいてきますから、詳しく知ろうとするアクションに結びつく方もいます。


介護の具体的なイメージを持っていただくことは、とても大事です。

株式会社and familyの企業研修の模様
株式会社and familyの企業研修の模様



介護の不安を可視化し、従業員の大量離職防止へ

株式会社and familyとFPサテライト株式会社の両社提携ロゴマーク
株式会社and familyとFPサテライト株式会社の両社提携ロゴマーク

――今回、FPサテライトとの業務提携にいたった背景を教えてください。

これから介護問題を抱える方々の不安を可視化し、解決するためのソリューションを合わせて提供する両社の想いが合致し、業務提携に至りました。

提携のきっかけは、共通の知人であるFPがつないでくれたご縁です。


「介護離職に取り組んでいる方がいますよ」と、FPサテライトさんの町田社長の旦那様に紹介していただき、ご縁ができました。

FPサテライトさんは、従業員のキャリアや介護との両立をFPがサポートする「おかねの保健室」「仕事と介護の両立支援相談窓口」を、2019年6月に開設されています。


「仕事と介護の両立支援相談窓口」は、月額費用0円の従量課金制で、介護のお金のご相談に特化した福利厚生サービスで、FPサテライトさんも「仕事と介護の両立支援相談」に本腰を入れたばかりです。

私もFPとの提携を模索していたので、うまくタイミングが合ったことになります。


――決め手になったのは?

FPサテライトさんは、金融商品を取り扱わないという方針をお持ちです。

じつは保険商品を取り扱う方と提携することになると、私どものお客様を商品販売につないでしまう危険性があり、それまでも様々なFPさんからも提携話はあったのですが、そのことで悩んでいました。


町田社長のFPサテライトさんでは、金融商品を扱わない方針を明確に打ち出されていましたので、「それなら安心だ」ということで、まさしく当社が探していたFPの条件に合致しており、後はとんとん拍子に提携が進むことになりました。


――提携内容について教えてください。

これから「介護」を抱える「不安」を見える化し、その中でも最もイメージしやすい「お金」にまつわる相談を促すことによって、より早い段階で具体的な準備を始めていただくことができるようになります。

あらかじめ準備をすることで、企業にとっても、介護によって従業員が働けなくなってしまうリスク、突然離脱・離職してしまうリスクをそれぞれ低減することができます。

企業が行う具体的な4つのサポート
  • 調査(職場診断ツール)
  • 研修(介護・お金・キャリア)
  • 相談窓口 (介護・お金・キャリア)
  • 環境整備 (各種制度づくり支援、ツール)



これらの4つのサポートを行うプラットフォームを、FPサテライトさんと構築し、各専門分野におけるパートナーとともにクライアントの「仕事と介護の両立」を実現する「職場づくり」の支援を行っていきます。

FPサテライトとandFamily提携の具体的なプラットフォーム
FPサテライトとand family提携の具体的なプラットフォーム


――今後のPR展開について教えてください。

残念ながら、昨今の感染症対策状況を踏まえて、人が集まる説明会やセミナーは先延ばしにせざるを得ないのですが、今の状況が収束し次第、広く提案していくつもりです。

まず企業の従業員の方向けに、どのような支援が必要かといったグラウンドデザインをお話ししてし、FPサテライトさんとand familyが具体的にどのような支援を行うかということを説明します。


たとえば「仕事と介護の両立」を実現するための相談窓口、お金を切り口とした提案型セミナーや、ほかの介護事業者や、キャリアコンサルタントの方ともパートナーシップを組んでいます。

それらを合わせたトータルでワンストップの、「仕事と介護の両立」について提案するセミナーを予定しております。


介護に加えてお金やキャリアにも踏み込んだセミナーとして、人事の方も「こういうご提案があるのですか」と関心を寄せていただいています。


――どんな方を対象にしていきますか。

これから介護に取り組まれる方がターゲットになります。

ビジネスパーソンは、介護について脳裏では考えていても、まだ先だろうと思っている方が多いと思います。


そういった方々に介護を「自分ごと」としてとらえていただき、ボードゲームで介護で何が起こるかということを疑似体験していただきます。

ワークショップ形式の説明会では従業員の離職防止方法を提案します。


漠然と「介護は大変」と思っているビジネスパーソンが多く、具体的にどのくらいの介護費用がかかるのかを知りたいという要望が多いのですが、現状では介護のみの相談窓口を設置しているだけの企業が多いようです。

両社が提携することで、多くの企業が「お金と介護の相談窓口」を設置できる環境を作っていきたいと思います。


介護のテーマに「お金」の面を加えることによって、より介護について相談しやすい環境が整います。

たとえば、「介護ってそんなにお金がかかるんだ。じゃあ介護ってどういうことなんだろう」というように、より深い関心が寄せられるようになると思います。


そうした環境ができることで、多くの企業やビジネスパーソンが悩む職場の大量離職を防ぐ、一助になりえるのではないかという期待が、私たちが提携する目的です。

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社 名:株式会社and family
所在地:〒103-0016 東京都中央区日本橋小網町8番2号
代表者:代表取締役 佐々木 将人

<プロフィール>
1981年に神奈川県相模原市生まれ。2004年早稲田大学法学部卒業後、同年から石油化学メーカー入社、経営企画や法務部門などに携わり、全社計画やJV契約、M&A等の案件を担当。2016年ビジネス・ブレークスルー大学大学院 経営管理専攻修了(MBA)、2019年 株式会社and familyを創業し、代表取締役に就任
設立 2019年03月15日

事業内容:ワーク・ライフ・インテグレーションを実現する〈職場づくり〉コンサルティング事業
「仕事と介護の両立」支援研修 けあとの遭遇®企画・運営
ワークショップ・プログラムの企画・開発・運営
両立支援・職場づくりコンサルティング
ホームページ: https://and-fam.com/
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取材日:2020年4月10日