人生は先送りすべきではないと語る不動産投資業界の有名人~富士企画/クリスティ 代表取締役 新川義忠氏インタビュー

不動産投資会社・富士企画株式会社を設立、かつて在籍していた株式会社クリスティを買収して現在は2社を経営する新川義忠氏は、専門チャンネルを運営するYouTuberでもあり、不動産投資に関する本も4冊執筆するなど、業界では有名人です。

『仕事も遊びも一生懸命』『明日やろうは馬鹿野郎』を人生の軸にした意欲的な行動力のもとに、多くの優秀な人材を集めています。


管理している物件は、富士企画が2020年3月時点で99.10%、クリスティは97.92%と驚異の入居率を誇ります。

首都圏を中心に圧倒的な強みを持つ両社のかじを取る新川社長に、買収劇の秘話、好業績の秘密などを伺いました。

富士企画/クリスティ 代表取締役の新川義忠氏
新川義忠氏(富士企画/クリスティ 代表取締役)


かつて在籍した株式会社クリスティ買収の秘話

――首都圏の不動産情報に強いクリスティ買収の経緯から伺います。

不動産投資業界に飛び込んだのは20年前で、老舗住宅設備会社からクリスティに転職したことがキッカケです。

会社を選ぶ際に重視したのは「できるだけ立地が悪く、歴史がないこと」でしたが、そんな不思議な条件をつけたのは、自分の力だけで勝負してみたかったからです。


当時、クリスティはスズコウハウスという社名で、小林元社長ら数人でスタートしたばかりでしたが、その後退社された方も多く、自然と小林元社長と私と二人で牽引する体制になりました。

最終的に14年間勤務して2012年に退職し、「クリスティに負けない会社を作ってやる」という気概で、富士企画を立ち上げて起業しました。


酒飲み仲間だった小林元社長の理念、「お客さんがちゃんと儲からないと、自分たちだけが儲かっても意味がない」を実践していました。

しかし5年後の3月21日に、小林元社長が55歳の若さで亡くなってしまいました。


残念なことに、小林元社長とはすれ違いがあって当時疎遠になっていたため、亡くなった数日後に元クリスティ社員から小林元社長の訃報を知らされました。

そんな時、私はサーファー仲間と飲みに行ってランチすることが多いのですが、その日も同じ趣味の不動産会社の人と、会社から離れた場所でランチをしていました。


普段は行かない銀行に、税金の関係振り込みに行ったところで、たまたま小林元社長の奥様とバッタリと出会ったんです。

――ふしぎな縁ですね。

そのころ、奥様は小林元社長が亡くなられた後は一歩も外に出ない生活が続いていたのですが、娘さんが桜も咲いてからと外出を促したそうです。

奥様も奇麗な桜を見て心が和み、たまたま銀行に入ったら私がいたということでした。


お互いに亡くなられた小林元社長が、引き合わせてくれたのでしょう。

じつはクリスティの後任社長はほぼ決まっていたそうなのですが、奥様は最終的にそれを断り、その後で私に冗談っぽく、「社長をやってよ」と社長就任を促してきました。


今は富士企画を経営している身ですからと言いつつ、私も、誰かがやらなければならないという責任を感じていました。

富士企画のメンバーにも元クリスティ社員がいて、「やった方がいいですよ」と助言してくれました。


実際に長年クリスティに勤め、私と小林元社長との二人三脚で会社を大きくしてきた自負もありますので、私が遺志を継いで、社長を引き受けることが必然と考えるに至りました。

そこで先方から、会社そのものを買収して欲しいとの要請がありました。


もちろん、そんな大金を用意するのはためらいましたが、最終的にはお金は動いたものの、譲り受けた感覚です。

若かりし頃の小林元社長からは、「この会社はいつかお前がやるんだからな」と言われ続けてきましたし、その遺志を引き継いだ社長就任日は、趣味であるサーフィンに掛けて、荒波を乗り越えて成長していくという願いを込めた「73(なみ)の日」を選びました。


2016年7月3日のことです。

クリスティ創業20周年と富士企画との業務提携祝賀会
クリスティ創業20周年と富士企画との業務提携祝賀会

――理想的なM&Aでしたね。

クリスティOBとは時々飲み会をしていたのですが、在職のメンバーとも会いたいという望みがあり、辞めたとはいえ、OBは皆クリスティに愛着をもっていました。

私が社長に就任したことで、クリスティのOBと現役の社員がうまく交流でき、取引も進んでいます。


奥様との奇跡的な出会いから始まった買収ですが、もし仮に大手企業がクリスティを買っていたら、両社の関係が上手くいくことはなかったでしょう。

もし買収金額が折り合わないとしても、私は経営をやりたいという希望がありました。


買収金額の高い安いは、問題ではありませんでした。



新川社長の働き方の理想

――買収後はいかがですか。

富士企画は働き方の自由度が高く、基本的に火曜日・水曜日が休みです。

私はサーファーですが、その2日に良い波がくるとは限りなくて、土曜日、日曜日の方が波がいい場合もあるんです。


だから波に合わせて仕事をする、というのが私のポリシーです。

ほかの社員も家庭や他の趣味に優先度を置いていると思いますが、不動産投資会社は定休日を決める業務ではありませんから、それは自由でいいと思っています。


実際に、富士企画のホームページに載せている営業時間は、遊び心で、「10時~今日の仕事が終わるまで」となっています。

私は海や波とともに仕事をしたいし、営業であれば計画を達成すれば、あとの働き方は自由でいいと思うのです。


ところがクリスティのほうのルールはやや厳格であり、そのギャップは壊しきれていません。

クリスティの経営者になって最初にしたことは、タイムカードの廃止でした。


遅刻はもちろん論外ですが、あまり時間に縛られるのもどうかと考えます。

もちろん就業時間は違う形で記録はしていますが、タイムカードは廃止しました。


今も少しずつ改革している最中です。

いくつかの書籍を出している新川氏


二つの軸『仕事も遊びも一生懸命』『明日やろうは馬鹿野郎』

――新川社長の人生の軸のような言葉は何でしょうか。

『仕事も遊びも一生懸命』『明日やろうは馬鹿野郎』これはいつも言っている大切な言葉で、私はこの軸で行動しています。

『仕事も遊びも一生懸命』という言葉の意味は、仕事だけではなく遊びも一生懸命にすれば人生は充実するということです。


また、仕事上においては、「明日に延ばそう」と安易に考えがちですが、今日やるべきことはたくさんあります。

もうひとつは人生観です。


小林元社長が若くして亡くなったように、人はいつ亡くなるかわかりません。

先送りにしていくうちに、相手がいなくなってしまうかもしれないのですから、伝えたいことはその日のうちに伝え、仕事でも遊びでもその日のうちに行動すべきだと思います。


じつは私は、『生んでくれてありがとう』とオフクロに言いたいと思いつつ、これまで恥ずかしくて言えていないんです。

このまま言わなかったら私はきっと後悔します。


だから、人生は先送りすべきではないという意味込めて、『明日やろうは馬鹿野郎』という言葉をひとつの軸にしています。

いつからこの言葉を言っているのか、私も分かりません。


クリスティOBに聞いてみたら、初めて会ったときから言ってましたと言われました(笑)。

ちなみに、私は、7年前から滝行を続けています。


滝行に行くときは、うちの営業、お客様など総勢450~460人で連れていきます。

終わったら温泉に入り、一緒に食事をするのですが、私は「滝仲間」と呼んでいます。


お客様の中にもサーファーがいます。

富士企画には会員限定で優良物件を紹介
富士企画には会員限定で優良物件を紹介



富士企画の営業の強み

――不動産営業というと、バイタリティーや押しが強いというイメージがありますが。

皆さんが不動産投資を始めるきっかけは、年金の足しにするか、将来仕事を引退した時の生活費の一部に充てたいといった様々な理由があると思います。

扱っている物件の数よりお客様の数の方が圧倒的に多いので、幸せなことに、私たちは買ってもらう相手を選ぶことができます。


良い物件は良い人に買ってもらいたい、仕事を一緒にするなら気が合う人とやりたい、というのが私たちのホンネです。

結局、仕事でも遊びでも仲良くなった方がいいです。


私はお客様との距離感が近いですが、逆に売るときは慎重になります。

そのくらいの距離感をもつことが、失敗しない秘訣です。


物件は首都圏の1棟もののマンション、アパートが多いです。

一般の方は、不動産営業というと、新築区分マンションの販売で、強引な営業のやり手というイメージをもっていらっしゃいますが、うちは買う気のない人に強引な営業はしません。


買いたいという方が多いから、物件を紹介してさしあげるという営業手法です。

富士企画で管理している中古のマンション・アパート物件は、40%が築年数35年以上、30%が築年数20年以上で、入居率は2020年3月時点で99.10%です。


物件は厳しく選定し、丁寧で細かいことの積み重ねにより、この入居率を実現できています。

おかげさまで、「管理部の方にはいつもお世話になって、ありがたいです」というたくさんの感謝の言葉をお客様からはいただいています。


私たちはお客様と信頼関係を築いているので、販売するのは簡単ですが、売った後に入居率が低くてはお客様に迷惑がかかってしまいます。

ですから、売る前に、必ず管理部に「入居率はどのくらいいけそうか」と相談し、「これならいけます」「これは厳しいですね」といった率直な意見を参考に営業していきます。


ある北関東の物件で、「毎月赤字30万円を垂れ流しているのだが、どうしたらいいだろう」という相談をいただいたことがあります。

最終的には富士企画が管理することになったのですが、その経緯は、営業部全員で物件を見に行き、地元不動産屋さんの意見も聞いて、知恵を出し合いった結果、満室にすることができました。


私たちは投資物件を20年間扱っていますから、地元不動産屋の要望を丁寧に聞けば埋められない部屋はないと実感しています。

地元不動産屋とのネットがあるところも強みですし、本当にいいメンバーが揃っているんです。



クリスティの成長戦略

――クリスティのほうはいかがですか。

クリスティの商圏は埼玉と千葉で、合わせると委任物件は200を超え、管理している物件の入居率は97.92%です。

私はお客様に売りっぱなしには決してせず、きちんと稼働させます。


築古の中古物件を扱っていますが、稼働率が高く、ほぼ満室状態だということがウリです。

じつは、過去には入居率が93%、場合によっては80%台まで下がったこともありました。


そこでクリスティのメンバー1人を富士企画に異動させ、ノウハウを吸収させてから、再度クリスティに戻って活躍してもらっています。

物件の写真や間取り図面を改善するだけでも、部屋の稼働率がアップするという知恵が身につき、入居率がアップしました。


物件サイトへのアクセスは前年比で150~200%向上し、効果も見られました。

富士企画・クリスティ両社の管理物件は、本気で入居率100%を目指しています。


電話の言葉遣いからメールのやり取りまで、すべてのことを丁寧にしなければ入居率100%は絶対に達成できません。

ですから、すべてのことをゼロベースで見直しました。

意欲的に著作を執筆している新川社長
意欲的に著作を執筆している新川社長



新型コロナと不動産市況

――新型コロナウイルスは不動産市況に影響していますか。

つい最近までは、新型コロナウイルスによる大きな影響はないと考えていたのですが、テレワーク、在宅勤務などで家にいる人が増え、ネット検索が増加、不動産物件の問い合わせも増えました。

富士企画の実店舗にいらっしゃるお客様の数も減り、その反面、ネット画面での面談が増えています。


私たちが直接会うことを重視している理由は、よくわからない人に物件を紹介したくないからです。

今でも直接会った方がいいと思っていますが、画面上でもその方のニュアンスを感じることができますので、それでもいいと考えているところです。


お互いの移動時間もなくなりますから、画面での商談は今後も増えていくと思います。

我々は、サブプライムローン問題が起こった後も経営上の影響はまったく受けず、逆に業績は好調なほどでした。


当時は銀行融資も締まってなかったことで物件が買えたということがありますし、株が下落することで不動産投資が注目され、富士企画は伸びることができました。

新型コロナウイルスによる悪影響は、金融機関からの融資が閉じているということです。


銀行マンの見立てによれば、これから株やFXで損した方がアパートやマンションを売りたいと考える人が増え、不動産価格も下がることを前提に査定する必要があるだろうとのことです。

自己資金がなおさら、必要になっていくトレンドです。


株が下がりすぎて、不動産投資に触手を伸ばす方は増えつつあります。

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社名 富士企画株式会社/株式会社クリスティ
代表者 代表取締役 新川 義忠
プロフィール:昭和47年生。北九州市生まれ、春日部で育つ。趣味はサーフィン。
所在地 富士企画 東京都新宿区四谷1-19-16 第一上野ビル5階
クリスティ 埼玉県さいたま市大宮区下町1-51 木崎屋ビル2階
ホームページ  富士企画  クリスティ 
電話/FAX: 富士企画 03-6380-6780/03-6380-6783
クリスティ 0120-11-4530/048-641-7881
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取材日:20年3月31日