旧弊の相続業界にAIでイノベーションを起こす~株式会みなと相続コンシェル 田畑昇龍氏インタビュー

田畑昇龍氏(株式会社みなと相続コンシェル取締役)
田畑昇龍氏(株式会社みなと相続コンシェル取締役)


一般的に相続税申告の税理士等報酬は財産総額に比例で決まるため、非常に高額になる例が多く、「報酬が不透明」という指摘があります。

株式会社みなと相続コンシェルは、実際の作業内容によって報酬が決まる明瞭で公平な報酬基準での税理士による相続申告を展開すると同時に、相続税の計算、申告書の作成、印刷を可能にする「AI相続」を無料でリリース、利用者も着実に増加中です。


「AIを活用し、相続業界にイノベーションを起こしたい」と、強い意欲と理想を抱く同社取締役の田畑昇龍氏に伺った。


相続業務は単純作業のはずなのに、なぜ相談料や報酬は高額になるのか

――田畑さんは、なぜこの会社に合流されたのですか。

私はもともとネット広告代理店出身なのですが、広告運用とメディア開拓を担当しながら、新たなロジックを搭載したプロダクトを開発する中で、情報とサービスの透明化がとても大切なことに気がつきました。

当社に合流する前はコーヒー農園を起業する夢を持っていました。


しかし相続業界の問題点を知り、相続にITを導入して相続業界を透明化し、複雑そうに見える課題を分析・単純化することで相続業界にイノベーションを起こせるのではないかと考え、合流を決めました。

現在28歳で、人事・渉外も担当しています。

――相続業界の問題とは。

税理士や信託銀行も同様なのですが、相続する財産が多いほど相談料や報酬が上がる傾向にあるということです。

正直私どもから見ると、報酬が高すぎると思うことがしばしばあります。


「相続はとても複雑であり、家族もケンカする。失敗したら税務署から指摘されて大変なことになりますよ」と洗脳に近い情報を発信する、税理士もいます。

しかし実は相続申告そのものは単純作業で、税理士A先生とB先生が申告して、A先生の方がより税金が安くなることは本来起こりません。


誰がやっても結果が変わらないわけですから、相続税申告は本来、労働集約型作業なんです。

――それなのに、高い、安いという報酬の差が生まれる。

家を買うことは人生に一度の買い物と言われますが、消費者が何回も経験することではないため多くの失敗談や後悔があるものです。

相続もまた家以上に人生に関わることですが、多くの人は一回か二回しか経験しないものです。


しかも、大切なご家族が亡くなり、時間的にも精神的にもバタバタする中では、税理士報酬が高いか安いかを考える余裕はありません。

そのため報酬や相談料を請求されると、資産家は「こんなものか」とばかりに受け入れてしまうのです。


でもその報酬は本当に適正なのでしょうか。

例えば、株式取引の手数料で考えてみてください。


昔はたとえば1億円分の株式を購入すると、手数料はだいたい100万円であり、100万円分の株式を購入すると手数料は1万円でした。

しかし証券会社で行う株の受注・発注・執行の手間は、実は同じなのです。


つまりネット証券が台頭するまでは、当たり前のように一律横並びで不明瞭に1%の手数料を取っていたのです。

現在では、ネット証券なら、株の売買は1億円でも数百円の手数料でできるようになりました。


証券の世界は少なくとも自由化されて、不明瞭な手数料はなくなったわけです。

不動産業界も、3%という手数料は絶対ではなく、より安い手数料の不動産屋がたくさんありますし、多くの業界で手数料は自由化されてどんどん透明化されています。


相続の世界も、もともとは税理士報酬規定に沿って税理士報酬の上限が決まっている管理された世界でした。

その後、この規定は02年に廃止され、自由化されたのですが、お客様の知識や経験は専門家に比べると圧倒的に少なく、疑問を持つ余裕もないために、税理士報酬の透明化はほとんど進んでいないというのが実情です。


その結果、一般的な相続税申告にもかかわらず、税理士報酬規定の廃止前より高い報酬をとるようになった事務所も散見される状況です。

そこで私たちが、誠実な相続サービスを確立することをミッションとし、公平中立な判断をし、必要なものだけを適正な価格で提供して不要に高い報酬を取らない会社として株式会社みなと相続コンシェルを立ち上げたのです。



みなと相続コンシェルは報酬をホームページに明記

みなと相続コンシェルのポリシー

――みなと相続コンシェルのポリシーを教えてください。

ご家族を一艘の船と考えれば、相続はそれを揺らす嵐のようなものかもしれません。

相続が起きれば、天気も悪くなり、ご家族という船は漂流してしまいます。


漂流の混乱に付け込み、不要なサービス売りつけるような人も世の中にはいますが、私たちはそういうことを絶対にいたしません。

私たちは、ご家族を第一に考え、家族の幸せを次世代につなぐお手伝いをするのがミッションです。


ご家族にはさまざまな形がありますし、サポートのカタチも様々あるべきだと考えています。

そういう私たちの考えの一環として、たとえ私たちの仕事に直接つながらないとしても、自分自身の手で相続税申告したいと思うご家族がいるなら、それを支援します。


また相続税申告ができるご家族が増えるのであれば、それはそれで素敵なことであると考えて、クラウドソフト「AI相続」を無料で提供しています。

押しつけをせず、お客様に必要とされるときにきちんとしたサービスで寄り添うのが私たちのポリシーです。


そのようなスタンスの方が結果的に、お客様のご支持をいただけると思っております。

――ホームページに報酬金額を明記していますね。

相続業界の報酬は相続財産総額の0.5%、1%だとか、はたまた「応相談」と書いているところが多く、とにかく基準が曖昧であり、透明な報酬を明記しているところが圧倒的に少ないのが実情です。

私たちは、基本報酬一律198,000円+加算報酬ということを表に明記しています。


加算報酬を含めて、公正・明瞭に報酬計算であいまいな請求をすることはありません。

業務には相続税申告の経験豊かな税理士が、相続申告完了まで担当制で責任をもって取り組みます。


土地の減額要因や特例の利用等、正しく見落としのない作成をするために、何重ものチェックをします。

さらにご相談内容の必要に応じて、お客様にとってベストな提案をするために、弁護士、司法書士、税理士、ファイナンシャルプランナーが社内で協議し、最適解を見つけます。


当社のメンバーには税理士、司法書士、弁護士などがおり、最適なサービスは何か、その適正な値段はいくらなのかを議論しています。

専門領域に偏った我田引水で、ビジネスのみを追求することはしていません。



相続の相談はいつがベストか

みなと相続コンシェルのオフィス
みなと相続コンシェルのオフィス

――相続の相談というのは、いつ頃からすればよいのでしょうか。

正直言いますと、相続税対策という視点であれば、もちろん早い方がいいです。

しかしご家族それぞれに事情がありますから、ご家族の中で機が熟すタイミングを選んで考えるべきです。


仮に相続税が安くなったとしても、親の尊厳や生きがいを奪ってしまうような財産移転をするのは、本末転倒です。

相続税の視点だけで話し合ってしまうと、相続対策が進まないどころか、それをきっかけに交流がなくなってしまうご家族も多いのです。


大事なのはご家族が、仲良く幸せになることに尽きます。

ただ被相続人が、認知症になる恐れがあるときはもちろん例外です。


その場合は準備を、とにかく急いだほうがいいでしょう。

――遺産相続には、何かともめるというイメージがありますが。

はい。

意外に思われるかもしれませんが、相続財産総額の多寡にかかわらず、一定割合で多くの家族がもめています。


特に土地のような分割が難しい相続財産が多いご家族は、こじれることが多いです。

――そういった場合はどんな助言をするのですか。

それは本当にケースバイケースです。

まず土地に絡む生前の相続税対策や、相続発生後の遺産分割協議と一言に言っても、やはりお客様によって答えが違うのです。


そして相続対策や助言に関しても、相続税を安くするということと、ご家族が喧嘩をせず仲良く生活するためという、似ているようで全く異なる二つの要素があるのです。

相続税を安くすることだけや、とにかく遺産分割をすることだけを考えるのであれば、答えは決まっていますし、アドバイスは簡単です。


しかし相続税を安くしたり、遺産分割をするだけでは、そのご家族を助けられる助言にはならないのです。

まずそのご家族がどのような価値観で物事を考え、どこで衝突し、どこが落としどころなのか、とにかく丹念にお話を聞きます。


その上で法律やこれまでの経験に照らし合わせて、答えを提案してご一緒に探していきます。

そういう意味でも、ご家族としても相続のことは分からないからと言って専門家任せにするのではなく、積極的に関わることが後に禍根を残さない大切なポイントであるとも言えます。



相続テック「AI相続」とは?

相続税申告書作成ソフト「AI相続」の利用手順
相続税申告書作成ソフト「AI相続」の利用手順。推奨ブラウザは最新版Google Chrome、Microsoft Edge、Firefox、Opera、Safari(Internet Explorerは利用不可)

――「AI相続」についてご説明をお願いします。

2019年9月30日に、最新の相続税申告書フォーム(令和版)対応の、相続税申告書無料作成クラウドソフト「AI相続」の提供を開始したのですが、おかげさまでその利用者が毎月伸びております。

今年3月12日には、これまでの機能を大幅にバージョンアップした最新版をリリースしました。


「AI相続」は相続税申告に関する知識をお持ちでなくても、フォームに沿って必要な情報(被相続人・相続人情報、財産情報等)を入力すれば、システムが自動で相続税申告書を作成します。

そして一通り入力が終わったら、自動生成された申告書を印刷し、マイナンバー、提出先税務署、提出日を手書きして押印すれば、そのまま税務署へ提出できるというシステムになります。


現時点での利用者の平均値は、被相続人の年齢は82.2歳、登録者の年齢は52.8歳、相続財産額が7,642万円(2020年4月1日現在)です。

開始当初より利用者の幅が広がってきており、1億円超の財産の申告書作成がかなり多くなってきています。


「AI相続」は今後も、お客様に寄り添って機能・サービス改善を行っていく予定です。

――アップデートのポイントは。

推奨ブラウザの入力反応速度が向上しましたので、これまで以上にストレスなく相続税申告書作成を進められます。

また入力途中の申告書作成ミスを防ぐ不要データ自動削除のほか、入力文字の自動変換など数々の入力支援機能を拡充しました。


さらに、ユーザー数増加に伴ってプログラム全体の見直しを行いました。

今まで以上に多くの皆様が利用される状況においても、適切にシステムが機能するようになりました。

「AI相続」アップデートの特徴
「AI相続」アップデートの特徴

――無料でここまで利用できるのはすごいですね。

相続の話し合いが終わって、すぐに相続税申告書を書く必要性がある方もいれば、自分が亡くなった時の相続税額を、実際の申告書を使って試算してみたい方もいたり、いろいろな利用をしていただいております。

土地の評価が難しい場合を除いて、相続税申告書は自分でも作成できます。


自分でできれば、家族の財産を少しでも多くの残すことができます。

また家族が自分たちで相続税申告に向き合うことが、家族の不和をなくすことにつながるケースもあると思っています。


当社にとっては直接的な仕事にならないかもしれませんが、「AI相続」の利用を通して、相続にきちんと寄り添っている会社として、社名だけでも覚えていただければ十分です。


当社のポリシーに共感していただき、自分で相続税申告に取り組む時間がない方や、第三者の専門家がご家族の間に入ることを希望される場合に、有料コースを申し込んでいただいたり、相続税申告後の不動産をはじめとする財産に関する相談もいただくこともあり、非常に嬉しく思っています。

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社名 株式会社みなと相続コンシェル
代表取締役 弥田 有三
所在地 東京都品川区北品川5-5-15 大崎ブライトコア4F
設立 2018年10月
資本金 500万円
主な事業内容 無料相続税申告書作成システム「AI相続」の開発・運営
ホームページ 株式会社みなと相続コンシェル
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取材日:2020年4月1日