アフターコロナの不動産投資はどうなる?不動産マーケットの歴史検証~四ツ谷大家学園 星龍一朗氏

新型コロナウィルス感染拡大の影響は不動産賃貸市場にも及んでおり、大家さんにとっては、家賃減額要請や退去、空室の長期化などが心配されます。

そんな中、一般財団法人日本不動産コミュニティー(J-REC)の東京第5支部メンバーによるコミュニティー「四ツ谷大家学園」で、大家さん向けの勉強会が緊急開催されました。


今回は当日の講演の中から、理事長代行である星龍一朗氏の講演を紹介します。

アフターコロナの不動産投資マーケットを占うために、バブル景気からコロナショックまでの日本の不動産マーケットの推移と、政策との関連を検証する内容です。


四ツ谷大家学園 星龍一朗氏


アフターコロナの不動産価格は上がるのか、下がるのか

今日は四ツ大家学園の勉強会として、アフターコロナを見すえた不動産マーケットの歴史検証の話をさせていただきます。

私は財閥系大手不動産会社で不動産売買仲介事業の戦略立案、売買契約の審査業務、売買仲介営業、アメリカの駐在などを経験しました。


その後は上場不動産投資会社や独立系不動産投資アセットマネジメント会社などで、不動産の仕入れやバリューアップ、売却業務などに従事しまして、累計で1,000件以上の売買契約、500億円以上の不動産投資運用に携わっています。

在職中にファイナンシャルプランナー(FP)資格を取得して独立しまして、不動産のプロである強みを活かし、顧客ごとのライフプランに即して、主に不動産活用による資産形成、およびお金の悩みの解決のために、FP・不動産コンサルタントとして活動しています。


セカンドオピニオンの顧問サービスを提供しており、購入アドバイス実績は累計43億円以上、売却アドバイス実績は累計15億円以上となっています。

自らも不動産投資、野立て太陽光発電所、民泊運営、時間貸しレンタルスペース運営、仮想通貨投資などを実践しております。


さて、コロナショック後の不動産価格はどうなると思いますか?

現時点ではコロナがどう終息するのかも見えませんし、第2波、第3波が来てまた緊急事態宣言が出てしまうかもしれませんし、正直、現時点では読めません。


普通に考えれば、今期は間違いなく企業業績は下がるし、ボーナスなども下がるし、景気としては悪くなるので、景気との連動で不動産が悪化する可能性はあるかなと思います。

当然、不動産投資の相場も下がる可能性があり、たぶん物件のタイプやエリアによって細分化・多様化していくのではないかと思います。


これまでの不動産の相場は、アベノミクスによってピークまで来ていたので、ピークアウトはするだろうと思います。

もし下がったら、逆に資金がある人にとっては買いどきになるかもしれません。



バブル後、なぜ地価は再び上昇したのか

バブル後、なぜ地価は再び上昇したのか

今、レインズでは4月の首都圏の中古マンションは50%以上取引件数が落ちています。

4月には緊急事態宣言が出ていましたが、それにもかかわらず半分にしか下がりませんでした。


価格の面では、4月は成約価格が5.8%下落し、5月の取引件数は前年同月比で38.5%の減少です。

4月は50%以上落ちていたので、下げ幅としては少し回復、単価でいうとほぼ横ばい、少し上昇しました。


成約価格は4月と比べて2.3%上昇したのが首都圏の中古マンションの取引で、6月に入ってまた取引件数はだいぶ戻してくるんじゃないかなと思います。

この不動産価格の推移を、バブル以前から振り返ってみましょう。


バブル以前の不動産価格の推移

これは都道府県の最高価格地で、地価公示の都道府県別最高価格をつけている住宅地商業地の平均価格指数を示したものです。

1980年代後半にバーッと上がり、1990年3月に不動産融資総量規制が出て、それをきっかけにバブルが崩壊していきました。


公示地価は1月1日現在を基準日として3月下旬に発表されるものですが、タイムラグがあり、実際の値動きは半年から1年遅れますので、実際にはピークが後にきますが、もっと前にピークアウトしていたと思います。


そこからバブルが崩壊し、2001年にJ‐REITがスタートして、2004年から7年ほど不動産ファンドバブルの時代があり、少し上がりましたが、2008年のリーマンショックでまた下がって、東日本大震災でさらに下がりました。


2013年からアベノミクス政策が始まって上がり、そこで2020年の新型コロナウイルスの感染拡大が起こって、コロナショックで今後どうなっていくのかというところにきています。

もう少しくわしくみていきましょう。


三大都市圏と地方都市圏、標準地価水準の推移

これは三大都市圏と地方都市圏、標準地価水準の推移です。

昭和60年を100とした場合、バブル景気でバーッと上がって、下がって、またちょっと盛り返して下がって、また盛り返してという動きになっています。




ここ10年弱、アベノミクスによる金融緩和によって不動産にお金がどんどん流れ込み、2013年に東京オリンピック開催が決まって、再開発やインバウンド需要を背景に、東京都の地価公示価格は結構上がりました。

次に、金融機関の不動産業貸出です。


金融機関の不動産業貸出

金融機関が不動産業に結構お金を出すようになり、2019年には貸出量は80兆円を超えていました。

バブル期を上回る過去最高の水準で不動産にお金が流れたわけですが、これはアベノミクスにある金融緩和効果です。

東証REIT指数も、アベノミクス以降上がってきていました。



すばやく回復した株価は今後どうなる?

次に株価はコロナショックでどうなったのかというと、12月末を100とすると3月に落ち込み、今はそこから戻して、ニューヨークダウとナスダック、日経平均と上海とインド、ばらつきがありますが、日米に関してはコロナ前に近いところまで戻しています。



3月の中旬にドンと落ちてそこから戻してきているのは、やはりこれだけ下がるとまた上がるだろうという心理があったということですが、ただ、第2波が来たらこれがどうなるかは分かりません。


企業業績が悪化する企業が多いにもかかわらず、株価としてはそういった動きをしています。

コロナ禍の東証REIT指数推移を見ると、3月19日に底をつき、株価ほどではありませんが、回復してきています。


コロナ禍の東証REIT指数推移

マーケットサイクル(市況感)で言いますと、回復期→拡大期→縮小期→後退期という流れになるのですが、ここ最近は拡大期のピークに来ていましたので、今後は縮小期、後退期に入ることが考えられます。

資金調達面、融資の面は不動産マーケットと非常に密接にかかわってくるので、ここがどうなるのかが非常に大きいのですが、その裏には、国がどういう政策をとるかということも絡んできます。



バブル崩壊から金融機関への資金注入へ

ここでもう一度、バブル崩壊以降の歴史を政策面から検証していきましょう。



1990年の不動産融資総量規制は、不動産業に対する融資の総量を抑えて引き締めました。

これにより不動産にお金が回らなくなり、不動産取引ができなくなって、不動産価格が暴落、バブルも崩壊、そこから「失われた20年、30年」という世界になりました。


1995年には不動産特定共同事業法という、出資を受けて不動産取引を行い、その収益を分配する事業に関する法律ができ、日本でも不動産の証券化を盛んにしていこうという動きになりました。

1997年には三洋証券、北海道拓殖銀行山一証券が破綻し、消費税が3%から5%に上がり、日本経済は低迷を続け、1998年には日本長期信用銀行、今の新生銀行と日本債券信用銀行(今のあおぞら銀行)に公的資金が注入されて、何とか破綻は免れました。



不動産の証券化が進んだ00年代



そこで資産流動化法、SPC法ができ、また投信法ができて、不動産ファンドが活動しやすくなり、不動産の証券化も推進されていきました。

2001年には小泉内閣ができ、J‐REIT、日本版の上場不動産投資信託が誕生しました。


これにより不動産の証券化が活発化したことによって、2004~2007年に不動産ファンドバブルというミニバブルとなり、収益性が高い不動産に関しては非常に上昇していく一方で、収益性のない、もしくは低い不動産は下落を続けていく二極化が進んだわけです。

2007年、サブプライム問題が表面化します。


これはBNPバリパの投資ファンドが引き出しを凍結して解約させないようにしたということで。その背景には、アメリカの低所得者向けの高リスク住宅ローンを証券化したものをファンド化して販売していたサブプライム問題がありました。

それがデフォルトしたり、返済が滞ることによって、2008年にリーマンショックが起こり、リーマン証券が破綻したことで、世界的な金融危機が起き、日本の不動産ファンドバブルも崩壊しました。


日本では自民党政権が選挙で大敗し、民主党政権になりましたが、2011年に東日本大震災があり、混乱の中でやはり民主党はダメだということになって、2012年に自民党政権に戻りました。



アベノミクス、そしてかぼちゃの馬車事件



2013年からはアベノミクス政策がスタートして金融緩和され、市場にどんどんお金が流れていきました。

2014年にはNISAが始まり、2016年には日本銀行がマイナス金利政策をしました。


ところが、2013年から不動産にジャブジャブとお金が入ってきて、投資用不動産が上がってきていたので、金融庁が不動産投資用の貸し出し、主に個人向けのアパートローンの増加の状況に警鐘を鳴らすレポートを発表し、金融機関に対して個人向けのアパートの審査の厳格化をしなさいという方針を出したものですから、その影響で「かぼちゃの馬車事件」およびスルガ銀行の不正融資問題が起こりました。


これにより個人向けアパートローンに対する蛇口が狭くなりました。

サラリーマン投資家さん向けの1棟アパート・マンションに対するアパートローンも、ハードルがだいぶ上がり、地方の1棟アパート・マンションの相場も下落に転じることになりました。

ただ都心部の不動産や大型不動産はあまり下落していなかったのですが、そこへ新型コロナ感染拡大が直撃したわけです。



映画で学べる株価と地価の関係

このように、政策と融資が非常に不動産のマーケットとの関連が深く、今後も、不動産にお金が流れてくるかどうかは大きなポイントになります。

『バブルへGO!! タイムマシンはドラム式』という映画をご覧になったことはありますか?


不動産融資の総量規制を阻止するためにタイムトラベルするというストーリーの映画で、結構面白かったです。

映画にもなったNHKドラマ『ハゲタカ』は、バブル崩壊後の日本に、アメリカから戻ってきた鷲津というファンドマネージャーが日本を買い漁るという内容でしたが、これも非常に面白かったです。


正直、今後どうなるかということはなかなか読めませんが、株価と地価の推移には一定の連動性があり、ちゃんと見ていくと一定の連動性があります。




株価のほうは日々すごく動きがありますが、不動産はそんなに日々の動きが激しくなくて、遅行性がある。

つまり地価の先行指標として株の動きを見ることは参考になると思います。

ただ不動産コンサルタントの長嶋修氏のように、コロナバブルの可能性もあると言っている方もいます。


長嶋氏によれば、コロナバブルのシナリオは60%の確率で、デフレ不況になるシナリオが30%、金融システムがダウンして日本経済がアウトになる最悪のシナリオが10%だそうです。

今国会の第二次補正予算でついた多額の予算が不動産に回って資産バブルになる、という説もありますが、はたしてそれがバブルになるのか、やはりクラッシュしてしまうのか。


融資という意味でいうと、景気悪化で企業がたくさん破綻し、不良債権が増えて金融機関の経営がおかしくなってくると、リーマンショック時と同じような金融危機になってしまいます。

そうするとやはり融資が出てこなくなってしまう。


最悪はそういうこともあり得るのですが、現時点では、コロナバブルというほうに振れる可能性もあります。

今後は注意深くお金の動き、不動産の融資環境、先行指標の株価などをチェックして動向を読んでいただくべきだと思います。

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プロフィール

星龍一朗
四ツ谷大家学園 事務局窓口・理事長代行、J-REC東京第5支部所属 新宿SG:J-REC公認 不動産コンサルタント、リアル・スター・コラボレーション株式会社 代表取締役、ニコニコFP新宿事務所 代表、一般社団法人 不動産経営イノベーション協会 代表理事
大手不動産会社にて、不動産売買の契約審査・営業促進業務・売買仲介営業業務を経験。その後、上場不動産投資会社にて、不動産の購入、売却、バリューアップ、開発等の業務を担当。
不動産投資運用会社に転じて、収益不動産の投資運用・開発などを行うアセットマジメント業務を統括。500億円以上の収益不動産の投資運用に携わり、1,000件以上の不動産売買契約を見てきた実績を持つ。「不動産で失敗する人をなくしたい!」との想いから、現在は、業界側の論理ではなく、個人の味方となって不動産投資運用をサポートする独立系のコンサルタントとして活動中。全くの素人だったサラリーマンや主婦が、3ヶ月で1棟アパート・マンションを購入し、その後、満室経営を実現するなど、多くのニコニコ大家さんを産みだしている。他に、賃貸経営実践会・不動産みらいコミュニティーを主宰。

<四ツ谷大家学園>
メールアドレス:info@2525ooya.com
事務局窓口: リアル・スター・コラボレーション株式会社
住所: 東京都新宿区西新宿7-2-5 TH西新宿ビル6階
ホームページ: https://yotsuyaooya-ac.com/jimukyoku/
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取材日:2020年6月20日