ベストな相続を法律・税務の両面からワンストップで対応~弁護士 菰田泰隆氏インタビュー

福岡県・博多に本部を置くKOMODA LAW OFFICE グループは、弁護士・社労士・税理士・司法書士資格を有する総合法律事務所だ。

グループを立ち上げた菰田泰隆代表弁護士によれば、「アメリカには士業が集まるリーガルファームがごく当たり前に存在する」という。


たしかに、そのようなワンストップの存在があれば、クライアントは相続や中小企業支援の相談を一度にでき、利便性が高い

リーガルファームのビジネスモデルを広めつつある菰田代表弁護士にお話を伺った。

弁護士法人菰田総合法律事務所の菰田泰隆代表弁護士
弁護士法人菰田総合法律事務所の菰田泰隆代表弁護士



弁護士資格取得直後に事務所を開設


――最初の事務所設立までの経緯を教えてください。

普通は弁護士資格を取得するとどこかの弁護士事務所に所属し、数年間は雇われで働くのが通例なのですが、私は少し経歴が変わっていまして、弁護士の資格取得直後に事務所を構えました。

妻の地元が福岡市の南に隣接する那珂川町(当時)だったのですが、ここは2019年に人口5万人を超えて町から市に昇格したにもかかわらず、弁護士事務所がまだ一軒もありませんでした。


競争相手の多い福岡市内でいきなり事務所を構えても成功は難しいですが、人口5万人規模の那珂川には新たな需要があると考えました。

それまでの那珂川では、司法書士が町の皆さんの相談に乗る弁護士のような位置づけでしたから、その司法書士がワンストップでサービスを提供すれば利便性が高いということで、司法書士、税理士、行政書士が集まる那珂川士業ビルが建設されました。


私もそこで司法書士の方と仲良くなり、弁護士がまだいない那珂川に来てほしいと言われ、那珂川士業ビル内に事務所を入居したわけです。

そのため独立したときから、同じビル内の隣室や上階にすべての士業の方々が揃っている環境でした。


士業ビルには共用の会議室があり、町民のクライアントが相続相談に見えると、司法書士、税理士、弁護士の3人で対応し、遺産分割、登記、相続税のすべてをワンストップで困りごとに対処するスタンスでした。

そういうワンストップサービスが独立時からの対応でしたから、これは現在でも引き継いでいます。



「弁護士・社労士・税理士」3法人体制の構築


――現在事務所は博多本部、那珂川、佐賀の3体制ですが、そこに至るまでの経過は。

最初に那珂川オフィスを設置した後、1年後に博多に進出しました。

じつは那珂川オフィスは福岡市内から車で5分ほどの場所にあるので、クライアントが全体の7割は福岡市の方が占め、地元の方は3割ほどでした。


そうなると、どう考えても福岡市内に事務所があったほうがクライアントにとっても便利でしたので、博多オフィスを立ち上げることになりました。

現在では、那珂川オフィスは私が雇用したほかの弁護士にいったん任せ、私自身は博多オフィスを担当しており、その後クライアントとともに、所属弁護士も増えていきました。


こうして弁護士法人菰田総合法律事務所、社会保険労務士法人菰田総合コンサルティング、税理士法人菰田総合コンサルティングの3法人体制ができました。

2019年8月に税理士法人を立ち上げたきっかけは、知り合いが佐賀の税理士事務所を閉じたいという相談があったことでした。


年齢的には問題がなく、まだ現役で活躍できる方なのですが、お話を聞いてみると、「お金のコンサルタントをやりたいので、普通の税理士事務所を続けるのがきつくなってきた」とのことでした。

当時、すでに弁護士法人、社労士法人は揃っていましたので、さらに税理士法人までを揃えれば、中小企業が抱える課題にひと通り対応できる顧問先として利便性が高くなります。


じつは税理士法人の立ち上げはそれ以前からも模索したのですが、自力では難しく、時間が経つ一方でしたので、その税理士法人を買収し、事務所はそのまま佐賀オフィスに移行して、弁護士、社労士、税理士のワンストップ体制が整いました。


相続相談や中小企業支援をワンストップで実施できる秘訣について語る菰田代表弁護士
相続相談や中小企業支援をワンストップで実施できる秘訣について語る菰田代表弁護士



弁護士業・社労士業・税理士業のノウハウを取得


――3法人が揃うと、どのようなシナジー効果が生まれるのですか。

じつは弁護士は登録すれば社労士と税理士の資格を保有できるので、私自身、弁護士・社労士・税理士の資格を保有しています。

ただ、弁護士は社労士業や税理士業のノウハウまではありませんから、普通は業務にタッチすることは少ないと思います。


私の場合、知り合いの社労士や税理士のもとで仕事のやり方を学ばせていただく機会があり、そこでノウハウを取得しました。

専門家が複数人集まって仕事を進めるのもひとつのやり方ではありますが、弁護士・社労士・税理士を揃えて毎回ミーティングしないと話も進みません。


基本的にクライアントに対応するのは私なので、3つの士業のノウハウややり方を身に着けていかないと、クライアントとのお話し合いで気づけないこともあります。

本事務所の特徴は、代表の私がノウハウをしっかりと身に着け、クライアントをコンサルしながら、私から具体的に社労士や税理士に業務内容を指示し、仕事を回していくシステムをもっているということです。


事務所内の組織が弁護士・社労士・税理士の各業務に分かれ、ひとつの会社のように動いているため、ほかの事務所よりもよりワンストップ性が高くなっています。

弁護士業だけを行っていると、法務面ではよくても、お金の面ではコストがかかり、税金で損をしてしまうこともありますし、弁護士としての労務アドバイスがベターだったとしても、社会保険料が高くなってしまうこともあります。


弁護士だけのアドバイスをもとに会社を運営することは、必ずしもベストであるとは限らないわけです。

本事務所は、法務、労務、税務ですべてバランスが取れた提案をクライアントとともに実現しています。


――相続を控える中間富裕層にとっては、貴事務所はありがたい存在ですね。

数十億円の資産を有するような圧倒的な富裕層だったら、コストをかけても弁護士、税理士のスペシャリストを集めるでしょう。

しかし、預金は数千万円単位でも、先祖から引き継いでいる不動産を保有し、全体資産が数億円になっているご家庭もあり、日常生活がいたって普通の方が多いのです。


日常生活は普通なのに、相続税を考えると、大きな額になってしまうようなご家庭が意外と多いので、どういう相続の仕方が揉めにくいかという弁護士の側面、なおかつ、その資産をどう運用するか、あるいはどんな節税が可能という税理士の側面からも、ワンストップで両方同時に解決できます。



九州では長男が家と土地を受け継ぐ文化が根強い


気軽に相続の情報が集められる『相続LOUNGE』を「博多マルイ」にオープン
気軽に相続の情報が集められる『相続LOUNGE』を「博多マルイ」にオープン


――相続での具体的な相談事例を教えてください。

司法書士法人も本グループに加入しており、弁護士は遺産分割協議書を作成し、遺言があれば遺言執行も行い、司法書士事務所は不動産での登記を担当し、税理士法人は相続税を対応しますので、すべてワンストップで対応できます。

実際、クライアントからは「すべてお任せします」という要請が多いです。


少し特徴的な事例としては、曽祖父の代に登記していた土地を名義変更しようとしたら、相続人が100人近くもいて、承諾の印鑑を押してくれない相続人がいるというケースがありました。

本事務所と司法書士事務所が連携して、相続人すべてに連絡して印鑑を押してもらい、印鑑を押してくれない人には裁判を起こして、最終的に無事、登記を終えることができました。


九州では、いまだに長男が家業や土地、家を継ぐことも多いのですが、今は親の死後に長男以外の兄弟も財産を平等に分ける権利があると知っている人も多いものです。

親と長男は、長男にすべて受け継ぐつもりでいても、その他の兄弟の認識は違っていて、親の死後に揉めごとになるケースも多発しています。


――相続のワンストップサービスなら、お話もスムーズに進みそうですね。

普通は、弁護士事務所に相談に行くと法務的な面から「こう分けるのがいい」と言われて、税理士事務所にその相続案をもっていくと、「その分け方だと相続税が高くなりますよ」と言われてしまう。

クライアントからすれば、結局どちらの話を聞けばよいかと迷ってしまいます。


弁護士は揉めにくい方法、税理士は節税する方法をそれぞれ提案しているわけで、目的が異なるので、クライアントは両者のはざまで右往左往してしまうわけです。

本事務所なら、そんな場合でも、揉めにくさと税金の安さのバランスの取れた方法を提案できます。


また、クライアントには極力寄り添うことを心がけています。

クライアントからは、「うちは揉めないだろうから税金を安くなる方法を考えてほしい」とか、「税金が多少高くても徹底的に子供たちが揉めない方法を考えてほしい」など、双方向からの相談があります。


クライアントの価値観を丁寧に伺いつつ、そのご家庭にとってベストな方法を考えるには、法律と税金の両方の知識をもっていないと難しいのです。

相続ワンストップサービスは、そのような高いニーズがあります。



気軽に相続を相談できる福岡・博多の『相続LOUNGE』が話題

相続に悩んだらまず『相続LOUNGE』でご相談をと呼びかけている
相続に悩んだらまず『相続LOUNGE』でご相談をと呼びかけている


――気軽に相続の情報を集められる『相続LOUNGE』をオープンされています。

本事務所でも揉める案件を多く見てきましたので、揉めないような相続を提供していきたいと思っています。

一般の方にとっては、弁護士事務所はやはり敷居が高いものです。


弁護士事務所に電話して、アポイントを取り、事務所に赴いて弁護士に相談する、という行動は誰にでもできるものではないと思います。

どうやったら気軽に相談していただけるかということを考えて、商業施設KITTE博多内にある「博多マルイ」に『相続LOUNGE』をオープンしました。


弁護士事務所には閉鎖的なイメージがありますが、『相続LOUNGE』は逆に開放的な雰囲気を意識していて、一切の壁を設けませんでしたので、カフェや洋服屋さんのように入りやすく、弁護士事務所の運営と知らずに相談に来られる方もいらっしゃいます。

弁護士事務所での相続相談は年間で300件ほどですが、『相続LOUNGE』の来店者数ははるかに多く、月に100組ほどいらっしゃいます。


――相続での悩みは、どこに行けばいいのか迷いますから、敷居が低いのはいいですね。

相続の相談先は、弁護士事務所か、税理士事務所か、士業は敷居が高いから取引先の銀行員さんか、保険屋さんか、など様々です。

本事務所では、相続に悩んだらまずは、『相続LOUNGE』に来てくださいとアナウンスしています。


――自分の相続税がいくらかかるのかを調べてくれる『相続税のシミュレーション』サービスも開始されました。

値段にはこだわっていませんが、「無料」だと信頼性が乏しいと思われてしまいますので実費代として980円でお調べします。

そもそも自分には相続税がかかるかかからないのか、かかるとしたらいくらかかるのかがわからないという相談が多いです。

相続税のことが分かると、その後の対策もスムーズに進むことがあります。


福岡県・博多に本部を置くKOMODA LAW OFFICE グループ
福岡県・博多に本部を置くKOMODA LAW OFFICE グループ


――改正相続法の施行により、相続税がかかる人が増えたのではありませんか。

本事務所に相談される方は、相続税がかかるケースがほとんどです。

改正前では相続税がかからなかった人でも、法改正により相続税がかかる人が増えています。


今は、自宅不動産があって、預貯金もそれなりにあると、相続税の課税対象者になってきます。

福岡市内も土地価格が上がっていますから、ご自宅が福岡市内にあって、最寄が地下鉄沿線のような立地であれば相続税がかかる可能性があります。



相続税の物納は意外と簡単ではない


――相続税が払えない場合、物納を申請できるのでしょうか。

じつは、物納は制度としては存在しますが、国が許可しなければ受け付けてもらえません。

国としても、換金が容易でなければ物納は許可しないのです。


しかも、物納では不動産であっても高額で評価してくれませんから、亡くなった時に目立った資産が自宅の不動産のみであるような場合は困ります。

そういう場合は生前に手を打ち、考えていく必要があります。


――最後に、菰田さんのポリシーを教えてください。

日本は資格ごとに事務所が存在し、クライアントが資格ごとに事務所を使い分ける体制になっていますが、これはじつは世界的に見て珍しいことです。

ワンストップで対応できる方がクライアントにとって使いやすくなるのは当たり前で、本事務所のように支店を増やしていく方法もひとつのやり方だと思うので、ほかの弁護士事務所でも私たちのシステムを導入すれば、士業という存在がさらに世間のお役に立つようになっていくのではないかと思います。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
KOMODA LAW OFFICE グループ
弁護士法人 菰田総合法律事務所
代表弁護士:菰田 泰隆
社会保険労務士法人 菰田総合コンサルティング
税理士法人 菰田総合コンサルティング
■博多オフィス
福岡市博多区博多駅前2丁目20-1 大博多ビル8階
TEL:092-433-8711
ホームページ: https://www.komoda-law.jp/
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
取材日:2020年6月11日